裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 玄関を見ると、靴収集が好きな母が履かないようなスニーカーが置いてある。
 このスニーカーは鈴木さんのものだろう。

「あれ? 鈴木さん、この時間までいるの?」
 鈴木美智子さんは我が家の通いの家政婦さんだ。
 いつも彼女は大体17時くらいには夕食の準備までして、帰宅している。

 今は、夜の20時だから彼女がいるのはおかしい。
 彼女がいるのもおかしいが、母も明日まではお友達とフランス旅行に行っていたはずだ。

「俺は、美智子ちゃんが好きなんだ。お前のことは最初から好きじゃなかった」
 私は父の声に玄関で固まってしまった。