裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 私は彼のことを頼りにしていたが、彼のことを好きではないのかもしれない。

「今日は、出張からパパが帰ってくるから」
私はそう言って彼から逃げるように、閉まりそうなエレベーターの中に戻った。

「本当、つまんねえ」
 彼が不満そうに言った言葉が耳に残り、不機嫌な顔がなぜだか頭に焼き付いた。

 なんだかモヤモヤした気分で、39階の自分の部屋の扉の前までくる。
 鍵を回したけれど、逆に閉まってしまった。
「あれ、もしかして元から空いていた?」
 もう一度鍵を回したら、扉が開いた。

「どうしてよー、私は隆さんだけが好きなのに!」
 扉が開いたとともに、母の聞いたことのない叫び声がする。