裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 私は必死にママを抱えて階段を降りた。
 ふと、腕に痛みを感じると彼女の握っていたアイスピックが私の腕を掠っていた。

「もう、それは捨てて」

 私が母のアイスピックを握りしめる手を広げようとしても、母は呆然としながら首を振るだけだ。
 なんとか1階までたどりつくと、1階のロビーのソファーで寛いでいる父が見えた。
皆、1階にいればいつでも逃げられると思っているのか、緊急避難先になっている近くの小学校の校庭には行かないようだ。

「赤ちゃんのお母さんはいますか?」
 鈴木さんは赤ちゃんを抱えながら、色々な人に話しかけている。

「やばい、寛也に呼ばれて来てみたらすごいことになってる」