裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 ここに住んでいると、煙探知機や火災報知器により避難するよう放送があることは何度かあった。

 タワーマンションというのは火事になると一溜まりもない構造をしているらしいので、少しの探知でも作動するらしい。
 しかし、いずれもすぐに誤作動だったと訂正の放送が入った。

 気が付くと、私と母だけが部屋に残されていた。
 私が指示したことだが長年連れ添った妻と娘を置いて、不倫相手を連れていった父に嫌悪感がわく。

「ママ、お願いだから急いで!」

 私は、思いっきり母の手を引いて部屋から出て非常階段に向かった。
 非常階段はすでに煙が充満していた。