裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 私は一瞬、爽やかな40階の「社長」の姿が脳裏に浮かんだ。
 社長業は忙しいだろうから、きっと今も留守にしているだろう。

 母方の祖父も社長業をしているが、「会社が家族」といっていて家にいないことが多い。
 私は、なぜか40階の社長ことが心配で、彼の無事を祈っていた。

 外から、サイレンの音が聞こえてくる。
 ここは消防署に近いから来るのが早くてホッとする。
 でも、消防車が来るということは、火災報知器は間違いで鳴ったわけではなさそうだ。

「防災センターより、40階の火災報知器が作動しました。速やかに避難してください」
 先程と同じ放送が流れる。