裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

私はマンションのエントランスまで鈴木さんを送ることにした。
 父に鈴木さんに謝罪させたいけれど、父は謝らないだろう。

 そもそも、ここまでの会話で鈴木さんが父に対して恨みを抱いていなさそうだ。

 きっと、彼女は小さな町で父親も明かせない未婚の母として軽蔑されて苦労しただろう。
 私の感覚だと、父に謝罪させ慰謝料を払わせる方が正常だ。

 実の子を認知もしなかったクズ男の父に対して、思い出や優秀な遺伝子をくれたと冗談でも感謝して欲しくない。

 私の中で、鈴木さんは地獄の日にみた唯一まともな人なのだ。

 父の薄情さ、母の狂気、寛也と藍子の裏切り。