裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 オーブンを見ると、ケーキが焼き上がるにはあと8分程かかりそうだった。
 舞ちゃんが慌てて立ち上がり、荷物をまとめている。
 やはり時間的にギリギリだったようだ。

「全部食べるに決まっているよ。今日はありがとう。気をつけて帰ってね」

 私が回帰前に廃棄ししてしまった祖母のお祝いの気持ちを、形にしてくれたのは舞ちゃんだ。
 私は舞ちゃんの作ったケーキを大切に食べたいと思った。

 舞ちゃんが去り、部屋に鈴木さんと2人きりになる。
 回帰前と一緒なら、あと6時間は誰もこの部屋には来ない。

 私は意を決して、鈴木さんに尋ねることにした。

「渡辺隆ですか?鈴木さんの息子さんの父親は」