裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

「防災センターより、40階の火災報知器が作動しました。速やかに避難してください」

 放送と共に私は何度か見たことがある40階に住む男性を思い出した。
 エレベーターで40階を押した彼はスーツ姿のすらっとした男性だった。
 いつも朝、彼がマンションの正面玄関につけた車に乗り込むのを見ていた。

 周りの大学生とは違った大人の雰囲気を持つ彼を見ると、心が落ち着いた。
 運転手付きの高級車に乗り込む彼を、私はいつも心の中で「社長」と呼んでいた。