裏切りの夜に死んだ私が、憧れの社長を救うため時をかけました。

 でも、今から舞ちゃんの作ってくれるケーキの味は一生忘れない自信がある。

「プレッシャーありがとう。最善を尽くすね」
 舞ちゃんが台所洗剤で手を洗いはじめた。

「舞ちゃん、ちゃんとハンドソープで洗って」
 私はキッチンに置いてあるハンドソープを差し出した。

「これ、使って良かったの? 高級なクリームなのかと思ってた」

「私もそう思って、洗剤で手洗いしてしまいました」

 鈴木さんが笑いながら言う。
 言われてみれば、キッチンに置いてあるハンドソープは高級そうな壺に入ったクリームに見える。

 母は、料理もしない上に、キッチンで手を洗うこともない。