私の伸ばした髪なんて

〈アンタはほんとに可愛いよ、ムカつくほどにね〉

そんな言葉を呑み込む。

だって彼女が特別可愛く見えるのは、きっと〈有紗〉っていう人間が、その性格が好きだからだ。

これが恋愛感情なのかは、きっと一目瞭然だろう。

私は私が愛した人から、本気で「かわいいね」と言われたい。

〈髪が綺麗〉なんて馬鹿げた嘘じゃなくて、貴方からの本当の〈かわいい〉が欲しいんだ。

貴方にかわいいって言って貰えるなら、嘘で固めて伸ばした髪だって、いつだって切れるよ。

貴方が本当の気持ちで褒めてくれた髪を切るのは、少し寂しいけれど。



「由香だってかわいいよ、ムカつくほどにね」

「…そんなことないよ」

「うっそだ、自分で自分の可愛さに気づいてるでしょ?

いいなあ、まつげくっそ長いし。3センチくらいあるんじゃない?ちょっと分けてよ」

「…ありがと」