私の伸ばした髪なんて

「由香ってなんでこんなに髪綺麗なの?」

ああ、またか。

「そう?ありがと、綺麗かな。

別に、特別なケアとかしてないよ。ただ伸ばしてるだけ」

だって、この髪がなくなれば、短くなってしまえば、私の価値は消えてしまうから。

「マジで言ってるー?いいなぁ、私、髪質かなんかですぐパサついちゃうからさ」

私は高校生になった。

幼い頃も、小学生時代も、中学校の頃もずっーっと、私は自分の顔を褒めてもらったことはなかった。

ただ褒めてくれるところがあったとすれば、「髪が綺麗」だとか、馬鹿みたいに下手な嘘しかなかったと思う。

「有紗の髪だって綺麗じゃん、自信持ちなよ」

「由香には敵わないよー」

「たとえ有紗が髪パッサパサだとしてもさ、顔が天才的にかわいいからいいじゃん。

もっと可愛さ自覚したら?」

本当に、もっと自覚してくれたらいいのに。

〈私、かわいいでしょ?〉って周りに聞くくらい、いっそ清々しく自分の美しさをアピールしてしまえばいいのに。

そうすれば、私だって少しは惨めな思いをしなくて済むのに。

「だから、そんなことないって。由香いっつも褒めてくれるから嬉しいけどさ」

そう言って彼女はケラケラと笑う。

ほら、美人はそうやって謙遜して、自分の価値を上げていくんだ。