あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

「ご無沙汰しています。三年ぶりですね」

 平静を装いながら、なんとか声を絞り出して会釈をした。
 私が今どんな気持ちでいるのか、彼はわかっているのだろうか。この再会がどんなにつらいのか、も。
 
「安斉さんはリュンヌの取材で来られたそうです」

 飯塚さんがピタリと張りつくように彼の隣に立って説明を加える。
 その距離感が、彼女がただの〝秘書〟ではないと主張しているみたいで、結局そういうことなのかとガッカリした。
 彼は私と別れたあと、彼女と交際し始めたのかもしれない。
 飯塚さんもフランスへ行くと言っていたから、向こうで自然と恋人関係に発展したのだろう。

「須南社長、このたびは新社長就任おめでとうございます」

 瀬良さんは、昔のように〝凛音〟と呼ばなかった。だから私もきちんと線引きして呼び方を変えておいた。
 当然そうすべきだと頭では思うものの、親しい間柄ではないのだという事実を突きつけられたようで、心に痛みが走る。

「それにしても懐かしい。こんなところで会うなんて驚いたな。元気そうでよかった」

 今の言葉で心をさらにえぐられたものの、無表情のままコクリとうなずいた。

 元気そうでよかった? ……なにそれ。
 愛する人に急にいなくなられて、元気で幸せな日々を送れていたとでも?