あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

 嫌な予感が走る。「やっぱり違う人に頼んでもらえないですか?」と口から出そうになったものの、すんでのところで言葉をのみこんだ。
 たった今、『私も休んで迷惑をかけていますから、中谷さんの仕事で手伝えることがあったらどんどん回してください』『なんでも言ってください』と言ったばかりだ。このタイミングで前言撤回などできない。
 
「若い社長に変わったら、社内の雰囲気も違ってくるだろうね」
「……お若い方、なんですか」
「そう。創業者の長男だって。ずいぶんとイケメンらしいよ」

 ――帰国していたんだ。

 遠藤さんが口にした人物の特徴は瀬良さんそのもので、一瞬で頭が真っ白になった。
 このままでは彼と再び顔を合わせることになる。だけど逃げることはできないから、会場へは行くしかないだろう。

 新商品発表会は、おそらく〝プレス発表会形式〟でおこなわれるはず。メディア関係者に新商品の詳細情報を提供して、ニュースとして発信してもらうことで認知度向上を目指す、というものだ。

 限られた招待客向けの非公開イベントではないため、私が会場の隅にいても気づかれないのではないかな?
 もうこうなったら、そう思い込むしかない。目立たないよう、ひっそりとうしろのほうで気配を消そう。

 私は覚悟を決め、十四時から開催される新商品発表会へ向かった。