あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

「まあでも、凛音が今一番愛してるのは優愛だもんね」

 ふっと笑みをこぼしながら、娘の額にかかる髪をそっと指で払った。
 董子の言うとおり。今の私はこの子に注ぐ愛情しか持ち合わせていない。

「ちょっと思ったんだけどさ、優愛はあと四年もしたら小学生だよ? ランドセル背負った姿を想像したら、今から楽しみでしかない」
「董子は気が早いなぁ」
「だってこんなにかわいいんだもん。大人になったら誰もが振り向く美人になるよ。しかし、だんだんパパに似てきたよね。……あ、ごめん」

 ポツリとつぶやいた董子が、失言だったと言わんばかりに顔をしかめる。
 そんなに気にしなくていいのにと、ふるふると首を横に振った。

「いいの。そのとおりだもん。私も最近そう思ってたよ」

 優愛の横顔をあらためてそっと見つめる。やわらかな頬も、あどけない目もともまだ幼いのに、ときどきハッとすることがある。どこがどう、と説明できないのだけれど、ふとしたときの表情が少しずつ彼に重なるのだ。

 忘れようと決めたはずだった。思い出さないよう名前さえ心の奥へ押しやったのに、優愛は成長とともに彼に似ていく。
 それが私にはときに残酷で、彼と過ごした記憶を呼び起こしてしまう。