あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

 発熱には額を冷やすのが一番だと思っていたけれど、実は有効な方法ではないらしい。
 初めて小児科を受診したとき、頭へ流れる血液の温度を下げるなら、首のうしろや脇の下、足の付け根を冷やすのが最も効果的だと教えてもらった。それ以来ずっとそれを実践している。

「凛音、仕事は大丈夫だった? またひとりで抱え込もうとしてるでしょ。私に頼めばいいのに」

 水くさいと言わんばかりに董子が顔をしかめたため、私は苦笑いを返す。

 実は、現在私たちは三人で暮らしている。
 三年前に妊娠が判明したとき、私は両親にその事実を報告し、会社を辞めて両親が暮らす福岡へ引っ越そうかと考えた。
 しかし、子どもの父親は誰なのかと当然聞かれ、私がかたくなに口を閉ざしたものだから、父を怒らせてしまったのだ。

『妊娠しました、産みます、誰の子どもかは言えませんって、そんな言い分が通用するわけないだろう』

 父はただ、シングルマザーになる覚悟を決めた娘を心配しただけだ。それは私もわかっている。
 でも、優愛の父親のことは言わないと固く決めていた。そのため、両親のそばで産み育てるのもためらわれた。

『だったら一緒に暮らそう。私が育児も協力するよ』

 悩んでいたとき、董子がそう提案してくれて、私は彼女を頼ってしまった。
 そんなことをしたら董子に多大な迷惑と負担をかける。それは重々承知だった。
 だけど彼女の熱意と優しさに甘えてしまい、ふたりとも借りていたマンションを解約してこの部屋に引っ越してきたのだ。
 そして、産休に入るギリギリまで働いた私は無事に優愛を出産し、育休を経て職場に復帰した。