「あきらめてください。私ももうすぐフランスへ行きます。ですから安斉さん、もうここへは来ないでくださいね」
冷たい声でそう言い放った飯塚さんが、私の答えを待たずに椅子から立ち上がった。
「では、失礼します」
挨拶をされてハッと我に返ったときには、すでに彼女の姿はなかった。
ずっとここにいても仕方がない。喪失感に襲われながら、鉛のように重くなった足取りでビルの外へ出た。
呆然としたまま帰宅して、リビングのソファーへちょこんと座った。
時間が経つにつれ、しだいに気持ちは落ち着いてきたけれど、どんなに考えてもなぜこんな事態になっているのか理解できない。
そんな中、バッグに入れていたスマホがメッセージの着信を告げた。
『今どこ? なにかわかった?』
送ってきた相手は董子だった。今日、瀬良さんの会社に行くと伝えておいたので、気にしてくれたようだ。
『家に帰ったよ。瀬良さんはフランスにいるみたい』
簡潔に返信をしておいたのだけれど、時計の針が二十一時を指そうとするころ、董子が家に訪ねて来た。
冷たい声でそう言い放った飯塚さんが、私の答えを待たずに椅子から立ち上がった。
「では、失礼します」
挨拶をされてハッと我に返ったときには、すでに彼女の姿はなかった。
ずっとここにいても仕方がない。喪失感に襲われながら、鉛のように重くなった足取りでビルの外へ出た。
呆然としたまま帰宅して、リビングのソファーへちょこんと座った。
時間が経つにつれ、しだいに気持ちは落ち着いてきたけれど、どんなに考えてもなぜこんな事態になっているのか理解できない。
そんな中、バッグに入れていたスマホがメッセージの着信を告げた。
『今どこ? なにかわかった?』
送ってきた相手は董子だった。今日、瀬良さんの会社に行くと伝えておいたので、気にしてくれたようだ。
『家に帰ったよ。瀬良さんはフランスにいるみたい』
簡潔に返信をしておいたのだけれど、時計の針が二十一時を指そうとするころ、董子が家に訪ねて来た。



