あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

「聞いたら大人しく帰ってもらえます?」
「……はい」
「フランスです」

 やはり自宅にも会社にもいなかったのだ。だが、出国していたとは思わなかった。
 フランス……急に海外出張の予定が入ったのだろうか。

「いつ戻るんですか?」
「数年は戻らないでしょう。須南常務はフランス支社の支社長の就任が決まったんです。本社での常務の職は解かれました。ちなみこれ、公式発表前なので他言無用でお願いしますね」
「ちょ、ちょっと待ってください」

 淡々とそう告げられても、言葉の意味を理解するのに時間がかかった。いったん落ち着いてから考えないと、頭が混乱して事態をのみこめない。
 
「戻らないって……?」
「フランスでの仕事に何年従事するかわかりませんから。家にも行かれたようですが、あそこはすでに引っ越されました。荷物もすでに引き払っていて誰もいませんので、行っても無駄です」
「え!」

 こんな短期間で引っ越しも済ませているの?
 彼女の言うことが信じられなくて、目を丸くしたまましばし固まってしまった。