あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

「ママ、だあれ?」
 
 その場で動けずに固まっていると、優愛がつないでいた手を引っ張ってきて、ハッと我に返る。
 彼が誰なのか――この場でどう説明していいかわからず、困った私は言い淀んでしまう。
 
「優愛ちゃん」

 瀬良さんがしゃがみ込み、慈愛を込めた眼差しで優愛を見つめて頭をなでた。我が子だと思うと愛しいのだろう。

「かわいい。いい子だね」
 
 優愛はじっと大人しくしていて、なでられてうれしかったのか笑みまで浮かべている。
 ふたりは親子だから、横顔がなんとなく似ていて……その光景を見ていたらなんだか泣きそうになってきた。

「凛音、私と優愛は先に行ってるね」
「……え?」

 そばで見守ってくれていた董子が、そう言って再び優愛と手をつなぐ。
 そして、私の耳もとに顔を寄せ、ひそひそと耳打ちをした。

「初恋の人で、最愛の人だったんだもん。まだ好きなんでしょ? だったら逃げないで」

 董子はにこりと笑みをたたえて彼におじぎをし、優愛を連れてレストランの方向へ歩き出す。

 彼女の言葉は、私の心を打つには十分だった。
 董子の言うとおり。すべての真実を知った今は、逃げずに正面から向き合うべきだ。