「ずっと使ってたの? ていうか、どうして覚えてるの?」
瀬良さんは私と付き合っていたことは記憶にないはずなのに……。
「つい先日、あの店の前を通りかかって懐かしい気持ちになったんだが、その理由がわからなかった」
彼はボールペンを手に取り、口もとにわずかに笑みを浮かべている。
思い出をたぐり寄せているような彼の表情を目にしていると、自然と鼓動が速まってきた。
「会社で資料を整理している最中、三日月のモチーフを見ているうちに思い出したんだ。ふたりで食事をして、凛音がこのボールペンを贈ってくれたことを」
瀬良さんがボールペンの三日月のモチーフを愛しそうに親指でなでつつ、顔を上げて私の瞳を射貫いた。
「凛音の初恋が俺だったって教えてくれて、すごくうれしかった」
「え、記憶……戻ったの?」
「ああ。恋人として過ごしていた凛音との時間すべて」
どう反応していいかわからない。記憶が戻ってよかったと思うものの、驚きととまどいが胸の中で入り混じり、複雑なマーブル模様を描く。
瀬良さんは私と付き合っていたことは記憶にないはずなのに……。
「つい先日、あの店の前を通りかかって懐かしい気持ちになったんだが、その理由がわからなかった」
彼はボールペンを手に取り、口もとにわずかに笑みを浮かべている。
思い出をたぐり寄せているような彼の表情を目にしていると、自然と鼓動が速まってきた。
「会社で資料を整理している最中、三日月のモチーフを見ているうちに思い出したんだ。ふたりで食事をして、凛音がこのボールペンを贈ってくれたことを」
瀬良さんがボールペンの三日月のモチーフを愛しそうに親指でなでつつ、顔を上げて私の瞳を射貫いた。
「凛音の初恋が俺だったって教えてくれて、すごくうれしかった」
「え、記憶……戻ったの?」
「ああ。恋人として過ごしていた凛音との時間すべて」
どう反応していいかわからない。記憶が戻ってよかったと思うものの、驚きととまどいが胸の中で入り混じり、複雑なマーブル模様を描く。



