あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

【安斉凛音様

 突然このような形でお伝えすることをお許しください。
 直接お会いして謝罪すべきだとわかっていながら、その勇気が持てませんでした。

 あなたからすべてを奪ったのは私です。
 三年前、社長が事故に遭い、記憶を失ったと知ったとき、私はそれを〝好機〟だと思ってしまいました。
 あなたの存在そのものをすべて消してしまえば、私が恋人として隣にいられるかもしれない、と。

 スマホのデータを消してあなたからの連絡を断ち、会社を訪ねてこられたときもウソをついて追い返しました。
 そして、別れを告げるメッセージも私が偽装して送りました。

 最低なことをしているとわかっていました。
 それでも、あのときの私は自分の気持ちを止めることができませんでした。
 あなたがどれほど傷つくかも、どれほど苦しむかも、想像できたはずなのに。

 私はとても身勝手でした。社長にはすべてをお話しして、会社を辞めることにいたしました。
 許していただけるとは思っていません。責められて当然のことをしたのだと自覚しています。

 ただひとつだけ、どうしてもお伝えしたいことがあります。
 私は長年、社長を本気で愛していました。
 あなたを傷つけ、ふたりの仲を裂いてまで貫くべきものではなかったと、今ならわかります。
 けれどあのときの私は理性を失い、間違いを犯してしまいました。

 あなたは本当に真っすぐで、心の綺麗な方です。
 私が言うのもおこがましいですが、どうか社長と幸せになってください。

 この手紙があなたをさらに傷つけてしまうかもしれない、とも思いました。
 それでも、なにも伝えずに去ることだけはしたくありませんでした。

 今までのこと、心よりお詫びいたします。本当に申し訳ありませんでした。

 飯塚加奈】