「自分の人生が思いどおりにいかないからって、都合よく他人を巻き込まないで。あなたに必要なのは、私じゃないと思う」
康史の瞳がわずかに揺れたのを、私は見逃さなかった。困惑の色を帯びていることも。
やけに長く感じた数秒の沈黙のあと、康史が顔をしかめつつ口を開いた。
「なんか……変わったな、凛音」
「そうね。私、強くなったの」
「もういい。一気に冷めたわ。怖がらせて悪かったな」
負け惜しみのように吐き捨てると、康史はそのまま背を向けて去っていった。
残されたのは、しんと静まった空間と、まだ収まらない心臓の鼓動。
足音が遠ざかっていく。康史の気配が完全に消えてから、私はようやく大きく息を吐いた。
「助けてくれて、ありがとうございました」
そばで見守っていた瀬良さんに頭を下げて感謝を伝えた。
あのとき彼が割って入ってくれなかったら、どうなっていたかわからない。
ホテルには絶対行かなかったとは思うけれど、警察を呼ぶ羽目にはなっていたかも……。
康史の瞳がわずかに揺れたのを、私は見逃さなかった。困惑の色を帯びていることも。
やけに長く感じた数秒の沈黙のあと、康史が顔をしかめつつ口を開いた。
「なんか……変わったな、凛音」
「そうね。私、強くなったの」
「もういい。一気に冷めたわ。怖がらせて悪かったな」
負け惜しみのように吐き捨てると、康史はそのまま背を向けて去っていった。
残されたのは、しんと静まった空間と、まだ収まらない心臓の鼓動。
足音が遠ざかっていく。康史の気配が完全に消えてから、私はようやく大きく息を吐いた。
「助けてくれて、ありがとうございました」
そばで見守っていた瀬良さんに頭を下げて感謝を伝えた。
あのとき彼が割って入ってくれなかったら、どうなっていたかわからない。
ホテルには絶対行かなかったとは思うけれど、警察を呼ぶ羽目にはなっていたかも……。



