「俺、独身だよ」
見ろと言わんばかりに、康史が左手の甲を私の目の前に突き出してくる。
たしかにその薬指に結婚指輪は見あたらないけれど……。
「少し前に離婚したんだ」
取り立てて意味のない報告のように、彼はさらりと言ってのけた。
思考が一瞬だけ止まったものの、私の心にたいした動揺は広がらなかった。
――だから、なに。
喉まで出かかった言葉をのみ込む。代わりに、私は眉ひとつ動かさずに康史を見返した。
それくらい、彼に対してはもう冷めた気持ちしかない。
「……私を切り捨てて結婚したのに、離婚になったんだ」
康史は相変わらず飄々とした笑みを浮かべている。少しも困った様子はなく、むしろ私の反応を面白がっているようにさえ見えた。
「愛人に貢ぎまくってたのが嫁にバレて怒りを買った。あげく、その愛人には逃げられるし。慰謝料払って離婚したのに、最悪だ」
開き直った康史が目を細める。それが気持ち悪くて、私は自然と顔をしかめた。
彼の浮気が離婚事由なら、全部自分が招いたことで奥さんに非はない。あきらかに康史が悪いのに、よくあっけらかんと笑えるものだ。
見ろと言わんばかりに、康史が左手の甲を私の目の前に突き出してくる。
たしかにその薬指に結婚指輪は見あたらないけれど……。
「少し前に離婚したんだ」
取り立てて意味のない報告のように、彼はさらりと言ってのけた。
思考が一瞬だけ止まったものの、私の心にたいした動揺は広がらなかった。
――だから、なに。
喉まで出かかった言葉をのみ込む。代わりに、私は眉ひとつ動かさずに康史を見返した。
それくらい、彼に対してはもう冷めた気持ちしかない。
「……私を切り捨てて結婚したのに、離婚になったんだ」
康史は相変わらず飄々とした笑みを浮かべている。少しも困った様子はなく、むしろ私の反応を面白がっているようにさえ見えた。
「愛人に貢ぎまくってたのが嫁にバレて怒りを買った。あげく、その愛人には逃げられるし。慰謝料払って離婚したのに、最悪だ」
開き直った康史が目を細める。それが気持ち悪くて、私は自然と顔をしかめた。
彼の浮気が離婚事由なら、全部自分が招いたことで奥さんに非はない。あきらかに康史が悪いのに、よくあっけらかんと笑えるものだ。



