「凛音」
彼がなぜこんな場所にいるのかわからなくて、思わず自分の目を疑った。
「ここで待ってたら会えると思って」
「康史……どうして……」
チャコールグレーのスーツ姿で私を待ち伏せしていたのは、元カレの康史だった。私の顔を見て笑みを浮かべ、そのままこちらへ近づいてくる。
「久しぶりだな。別れてからもう……三年半以上経つか」
「私になんの用?」
私たちは再会をよろこび合うような仲じゃない。少なくとも私は、二度と会いたくなかった。
そんな思いから、眉をひそめて二歩、三歩とうしろへ下がる。
「嫌そうな顔するなよ。凛音と話したくて来たんだ」
「今さら話すことなんてない。既婚者が元カノを待ち伏せして会おうとするのはダメでしょ」
冷たく言い放っても笑っているところを見ると、かつて私の心に傷をつけた罪悪感は微塵もないのだろう。
『専務のひとり娘との縁談が持ち上がって、先週見合いをした。彼女と結婚する』
『この結婚が俺のキャリアを変えるんだよ。俺は上に行きたい。同期のヤツらより出世したいんだ』
あのときの光景と言葉が脳裏によみがえる。
一方的に恋人関係を解消したのは彼のほうだ。私を振って、全部自分の思いどおりになったはず。
それなのにこうして会いにくるなんて、なにを考えているのかわからない。
彼がなぜこんな場所にいるのかわからなくて、思わず自分の目を疑った。
「ここで待ってたら会えると思って」
「康史……どうして……」
チャコールグレーのスーツ姿で私を待ち伏せしていたのは、元カレの康史だった。私の顔を見て笑みを浮かべ、そのままこちらへ近づいてくる。
「久しぶりだな。別れてからもう……三年半以上経つか」
「私になんの用?」
私たちは再会をよろこび合うような仲じゃない。少なくとも私は、二度と会いたくなかった。
そんな思いから、眉をひそめて二歩、三歩とうしろへ下がる。
「嫌そうな顔するなよ。凛音と話したくて来たんだ」
「今さら話すことなんてない。既婚者が元カノを待ち伏せして会おうとするのはダメでしょ」
冷たく言い放っても笑っているところを見ると、かつて私の心に傷をつけた罪悪感は微塵もないのだろう。
『専務のひとり娘との縁談が持ち上がって、先週見合いをした。彼女と結婚する』
『この結婚が俺のキャリアを変えるんだよ。俺は上に行きたい。同期のヤツらより出世したいんだ』
あのときの光景と言葉が脳裏によみがえる。
一方的に恋人関係を解消したのは彼のほうだ。私を振って、全部自分の思いどおりになったはず。
それなのにこうして会いにくるなんて、なにを考えているのかわからない。



