あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

「この前、瀬良さんと会ってモヤモヤしてるの?」

 付き合いの長い彼女にはなんでもお見通しだ。私のちょっとした変化にも気づいてしまう。
 
「向こうは私のことなんて全然気にしてなくて。元気そうでよかった、なんて言われちゃった」

 あれは彼の心の声そのものだった。演技や社交辞令じゃなかったと思う。
 だからこそやるせなくて、腹が立って、何度も頭に浮かんでくるんだろうな。

「でもさ、不可解だよね」
「え?」
「三年前、あんなに冷たい別れのメッセージを送ってきたんだよ? それなのに、再会して懐かしそうにするのは変じゃない。普通は顔が引きつるよ」

 優愛の口もとについた汚れをティッシュで拭いながら、ウンウンとうなずいた。
 
【急な人事で、俺はフランスで暮らすことになった。だから君とはもう会えない。別れてほしい】
【会社にも来たみたいだけど正直迷惑だ。やめてくれ。連絡をするのはこれで最後。もう電話もメッセージもしない】

 董子の言うとおりだ。私をこっぴどく振ったことなんて、もう忘れてしまったのだろうか。
 それとも……なにか理由があるのかな?
 そこまで考えて、強制的に思考を止めた。どうであれ、三年前に彼を失ったのは覆せない事実だから。

 そっと優愛の頭をなでて微笑む。私はこの子と生きていく――とっくにそう決めたのだ。