彼女がどんな方法で細工をしたのか、視線を下げてしばし考え込む。
あのとき、入院で動けない俺に変わって新しい端末の購入を頼んだ。だけど設定は自分自身でおこなった。なにも違和感はなかったのに……。
「クラウドのIDとパスワードですよ。私に手帳を持ってくるよう指示しましたよね」
そうだった。新しいスマホへデータを引き継ぐのに必要で、会社のデスクに保管していた手帳を病室まで届けてもらったことを思い出した。まさかそれを悪用した?
「お渡しする前に、書かれていたIDとパスワードを使ってパソコンからログインしました」
思わずぼうぜんとした。飯塚は真面目を絵に描いたような性格なのに、他人のIDで勝手にログインするなんて――。
「それで?」
「安斉さんに関するデータをすべて消しました。連絡先はもちろん、通話履歴、メッセージのやり取り、写真や動画も抜けがないようチェックして全部」
「スマホから彼女の存在そのものを抹消したのか」
胸の中でぐるぐると、悔しさと怒りの感情が複雑に混ざり合う。
俺は顔に出さず、平静を保とうとしていたが、内心は穏やかではいられなかった。ありえないだろう。なんてことをしてくれたのだ。
あのとき、入院で動けない俺に変わって新しい端末の購入を頼んだ。だけど設定は自分自身でおこなった。なにも違和感はなかったのに……。
「クラウドのIDとパスワードですよ。私に手帳を持ってくるよう指示しましたよね」
そうだった。新しいスマホへデータを引き継ぐのに必要で、会社のデスクに保管していた手帳を病室まで届けてもらったことを思い出した。まさかそれを悪用した?
「お渡しする前に、書かれていたIDとパスワードを使ってパソコンからログインしました」
思わずぼうぜんとした。飯塚は真面目を絵に描いたような性格なのに、他人のIDで勝手にログインするなんて――。
「それで?」
「安斉さんに関するデータをすべて消しました。連絡先はもちろん、通話履歴、メッセージのやり取り、写真や動画も抜けがないようチェックして全部」
「スマホから彼女の存在そのものを抹消したのか」
胸の中でぐるぐると、悔しさと怒りの感情が複雑に混ざり合う。
俺は顔に出さず、平静を保とうとしていたが、内心は穏やかではいられなかった。ありえないだろう。なんてことをしてくれたのだ。



