『ご無沙汰しています。三年ぶりですね』
あのとき安斉はそう言った。
俺は大学を卒業してから一度も会っていないつもりでいたが、そうじゃなかったんだ。
三年前、俺の記憶が欠けている時期に再会している。そのときに秘書の飯塚とも顔見知りになったのだとしたら、つじつまが合う。
「安斉の存在をずっと伝えずにいたのはなぜだ? ちゃんと説明してくれ」
飯塚の顔を覗き込み、目と目を合わせて真剣に訴えかけた。
すると彼女はくやしそうに顔をゆがめ、わなわなと唇を震わせる。
「社長が事故に遭ったあと、一年間の記憶がないとわかったとき、チャンスだと思ったんです」
「……チャンス?」
「安斉さんとの半年間をなかったことにできるじゃないですか。ずっと忘れていてほしかった」
「飯塚……」
彼女の瞳に後悔の色はなかった。バレたなら仕方がないとでも言うような、どこか開き直った顔をしている。
有能な〝敏腕秘書〟の飯塚は、細かいことにも気がついて対処してくれるから仕事では本当に助かっていて、俺は彼女に厚い信頼を寄せていた。
だからこそ、こんなふうに陰で裏切られていたのは、青天の霹靂だ。
あのとき安斉はそう言った。
俺は大学を卒業してから一度も会っていないつもりでいたが、そうじゃなかったんだ。
三年前、俺の記憶が欠けている時期に再会している。そのときに秘書の飯塚とも顔見知りになったのだとしたら、つじつまが合う。
「安斉の存在をずっと伝えずにいたのはなぜだ? ちゃんと説明してくれ」
飯塚の顔を覗き込み、目と目を合わせて真剣に訴えかけた。
すると彼女はくやしそうに顔をゆがめ、わなわなと唇を震わせる。
「社長が事故に遭ったあと、一年間の記憶がないとわかったとき、チャンスだと思ったんです」
「……チャンス?」
「安斉さんとの半年間をなかったことにできるじゃないですか。ずっと忘れていてほしかった」
「飯塚……」
彼女の瞳に後悔の色はなかった。バレたなら仕方がないとでも言うような、どこか開き直った顔をしている。
有能な〝敏腕秘書〟の飯塚は、細かいことにも気がついて対処してくれるから仕事では本当に助かっていて、俺は彼女に厚い信頼を寄せていた。
だからこそ、こんなふうに陰で裏切られていたのは、青天の霹靂だ。



