「誰かからプレゼントされたんだろうか?」
「どうしてそう思われるのですか?」
「名入れされた文字を見ているだけで、なんだか懐かしい気持ちが湧いてくるんだ」
頭よりも先に、心が反応している気がする。
このボールペンが記憶を取り戻すきっかけにならないかと、最近そう思うようになったのだ。
「ご家族から贈られたかもしれませんね」
「いや、知らないそうだ」
「では、ご友人からとか」
「……友人、ね」
俺がルヴォワールの創業者の息子だと知りながら、わざわざうちの商品を贈るような友人はいない。しかし俺が自身で名入れしたとも思えない。
フッとため息を吐きつつ飯塚の顔を見ると、なぜか視線をさまよわせて動揺していた。
「あまり気にせず、たまには違うボールペンを使うのもいいですよ」
彼女は取り繕うようにそう言い、手を伸ばして奪おうとしてきた。それに気づき、とっさにボールペンを守ろうと握りしめる。
「いや、これがいい。落ち着くんだ」
なぜだかわからないが、これは俺の手もとに置いて、大事にしなければいけない気がする。
記憶はないけれど、以前からずっとそうしてきたとわかるんだ。
「どうしてそう思われるのですか?」
「名入れされた文字を見ているだけで、なんだか懐かしい気持ちが湧いてくるんだ」
頭よりも先に、心が反応している気がする。
このボールペンが記憶を取り戻すきっかけにならないかと、最近そう思うようになったのだ。
「ご家族から贈られたかもしれませんね」
「いや、知らないそうだ」
「では、ご友人からとか」
「……友人、ね」
俺がルヴォワールの創業者の息子だと知りながら、わざわざうちの商品を贈るような友人はいない。しかし俺が自身で名入れしたとも思えない。
フッとため息を吐きつつ飯塚の顔を見ると、なぜか視線をさまよわせて動揺していた。
「あまり気にせず、たまには違うボールペンを使うのもいいですよ」
彼女は取り繕うようにそう言い、手を伸ばして奪おうとしてきた。それに気づき、とっさにボールペンを守ろうと握りしめる。
「いや、これがいい。落ち着くんだ」
なぜだかわからないが、これは俺の手もとに置いて、大事にしなければいけない気がする。
記憶はないけれど、以前からずっとそうしてきたとわかるんだ。



