あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

「覚えていらっしゃらないですか?」

 飯塚にそう聞かれ、俺は小さくうなずいた。まったく思い浮かばないし、もし覚えていたとしても、それが最新のものかどうか自信がない。

「誰かが連絡してきているかもしれないのに、もどかしいな」

 ため息を吐きながらつぶやくと、飯塚が即座に首を横に振った。

「仕事のメールは私がすべてチェックしています。クライアントからとくにお叱りの連絡は入っておりませんので、問題ないです」
「いや、そうじゃなくて個人的な相手。俺は重要なことを忘れてる気がする」

 根拠はなかった。だが、俺の中でモヤモヤしたものがずっと渦巻いていて、焦燥感にかられていた。
 俺からの連絡を待っている人がいる、思い出せ、と必死に記憶をたどるものの、どうしても顔が浮かんでこないのだ。
 
「俺が最近親しくしていた人間とか……恋人はいなかったんだろうか?」

 飯塚はただの秘書だ。プライベートな事柄をすべて把握しているわけではないけれど、交友関係について多少は知っているかもしれない。そう思って尋ねたのだが、彼女は少し考えるそぶりをしたあと、小さく首を横に振った。