あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~

 ――わかっていたはずなのに。

 パシャパシャと、カメラのシャッター音が鳴り響く。
 新社長就任式の演壇上。そこに立つ男性を見た瞬間、私は目が離せなくなった。

 彼の名は須南(すなみ)瀬良(せら)
 三年前、私のすべてを捧げて愛し、そして――音もなく私の前から消えてしまった人。

 かつて私を抱きしめたその腕は、今は高級なスーツに包まれ、自信に満ちたオーラを放っている。
 若き社長として脚光を浴びる彼は、三年前よりもずっと遠い世界の住人のように見えた。

「……っ」

 込み上げる感情を押し殺し、私は必死に『Aurum(オーラム)』の記者としての顔を取り繕う。
 ――仕事だ。これはただの仕事。
 今の私は取材でここに来ている。彼に会いに来たわけじゃない。しっかりしろと自分に言い聞かせた。

 就任式が終わり、会場が和やかな親睦の場へと変わる。
 そんな中、会場をあとにしようとした私に聞き慣れた声が届いた。

「もしかして……安斉(あんざい)か?」