私のお母さんは最近、スマホとよく睨めっこをしながら何かをしているようだった。その睨めっこ顔を見た数日後には、決まって何かしらの荷物が家に届くのだ。昨日はお母さんのマフラーが届いた。
「私もスマホ欲しい!」
「優愛はまだ6歳だから早いかな。使い方を間違えると大変なことになるからダメ」
「ぷー」
いつものお母さんであれば、私が口をぷーと膨らませると、だいたいのことは叶えてくれるのだけれど、今回は違った。
そんなお母さんに腹を立てて、真夜中に一人ベッドを抜け出してお母さんのスマホを奪いにリビングへと向かった。友達のスマホを使ったことがあるので、大まかな使い方は知っていた。
お母さんが今日使っていたのは通販サイトらしい。私も早速、気に入ったものを次々と購入してみた。ただ、なぜか「クレジットカード」を選択すればお金を支払うことはなく買うことができた。それを知って無料なんだと思い、私の手は止まらなくなっていた。
次の日の朝、お休みの日だったお父さんは険しい顔をして、バターをたっぷりと塗ったトーストを食べていた。
「お母さん、昨日、クレジットカードの履歴を調べたんだが……」
「クレジットカードって何?」
私は聞き覚えがある単語を聞いて、お母さんとの話の途中だったみたいだが、思わず聞いてしまった。
「クレジットカードっていうのは、お金を会社が立て替えてくれて後で払うっていうものだよ。通販サイトとかで使うな。……で、あの金額はなんだ? 今月、すでに100万なんだが」
100万という額と、後払いという部分にひどく寒気を覚えた。私が昨日お金を払わずに欲しいものをたくさん買えたのはそういう理由だったんだ。つまり、後で大変なことが待ち受けている。
「ごめんなさい。私かもしれない」
大きな雷が起きることはわかっていた。家を追い出されるかもしれないことも。でも、私は謝らずにはいられなかった。ただ、お父さんは私の顔を見ても怒ることはしなかった。むしろ、優しく頭をなでてくれた。
「いや、使われた大半はネックレスとか、ブランド服とかだら優愛は関係ないよ」
確かに、私は絵本などは買ったけれど、ネックレスとか、ブランド服は買っていない。
——使い方を間違えていたのは、私よりもお母さんだったのだ。

