わあっと歓声が上がる。
中には、泣いてる子もいた。そうだよね、怖かったよね……。
そんな希望とよろこびの中に、水を差すものがいた。
「何、勝手に人間にもどしてんのよ!」
楓の冷たい声に、みんなが一気に押し黙る。
怒りと憎しみのこもったその声が空に溶け、空気が氷のように冷たく感じた。
「美月のため……。と言いたいとこだが、今回は違う。
オマエのためだよ、楓」
「はあ? 美月だいちゅき~な王さまくんが、何言ってんの?」
楓はバカにしたように、ふんと鼻をならした。
「ホント、美月はいいよねぇ。
走る天才な上に、こんなに人に好かれてさ」
「……あのな、楓。確かに、美月は天才だ。それは、事実だからしょうがない」
ズバッとテルは言ってのけた。楓の眉が、ぴくっと動く。
「しょうがない、って何よ!
わたしは、必死に努力してるのに、天才さまにはかなわないんだから!」
「あのなー、しょーがねーもんは、しょうがねーんだよ。
天才ってヤツはどこにでもいるもんなんだから。駄々こねるな」
「こねてない!
わたしは、その事実に怒ってんの! 美月なんて、大嫌い!」
「ハイハイ」
……あれ? なんだろう。
これ、ふたりが、じゃれてるみたいな?
大嫌いって言われても……、なんだか、本気じゃないように聞こえる。
完全に、テルのペースだ。
「わたしの気持ちがわかる?
最近タイムが悪くて、先輩たちに
『月影のエースの方が速いんじゃない?』
なんて、陰口言われて……」
なっ、そんなひどいことを言われてたの⁉
テルも眉をしかめる。
「そんなヤツ、放っとけ。オマエの才能に嫉妬してるだけだ」
「才能なんて、わたし、ない! だから、美月がうらやましくて……」
「オマエの才能は、ある」
「何よ!」
「『負けず嫌い』なところ」
しん、と場が静まった。楓は、目を見開いている。
中には、泣いてる子もいた。そうだよね、怖かったよね……。
そんな希望とよろこびの中に、水を差すものがいた。
「何、勝手に人間にもどしてんのよ!」
楓の冷たい声に、みんなが一気に押し黙る。
怒りと憎しみのこもったその声が空に溶け、空気が氷のように冷たく感じた。
「美月のため……。と言いたいとこだが、今回は違う。
オマエのためだよ、楓」
「はあ? 美月だいちゅき~な王さまくんが、何言ってんの?」
楓はバカにしたように、ふんと鼻をならした。
「ホント、美月はいいよねぇ。
走る天才な上に、こんなに人に好かれてさ」
「……あのな、楓。確かに、美月は天才だ。それは、事実だからしょうがない」
ズバッとテルは言ってのけた。楓の眉が、ぴくっと動く。
「しょうがない、って何よ!
わたしは、必死に努力してるのに、天才さまにはかなわないんだから!」
「あのなー、しょーがねーもんは、しょうがねーんだよ。
天才ってヤツはどこにでもいるもんなんだから。駄々こねるな」
「こねてない!
わたしは、その事実に怒ってんの! 美月なんて、大嫌い!」
「ハイハイ」
……あれ? なんだろう。
これ、ふたりが、じゃれてるみたいな?
大嫌いって言われても……、なんだか、本気じゃないように聞こえる。
完全に、テルのペースだ。
「わたしの気持ちがわかる?
最近タイムが悪くて、先輩たちに
『月影のエースの方が速いんじゃない?』
なんて、陰口言われて……」
なっ、そんなひどいことを言われてたの⁉
テルも眉をしかめる。
「そんなヤツ、放っとけ。オマエの才能に嫉妬してるだけだ」
「才能なんて、わたし、ない! だから、美月がうらやましくて……」
「オマエの才能は、ある」
「何よ!」
「『負けず嫌い』なところ」
しん、と場が静まった。楓は、目を見開いている。



