ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

 ギラギラと緑の光が、楓の体から立ち上る。

「あああ!」

 苦しそうに、楓が声を上げた。

〈イリス、どうしよう。どうすればいい⁉〉
〈どうにかして、楓の心の闇をときほぐせばいいんだが……。
くそ、まさか、ここまで闇が深いなんて〉

 イリスと心の中で会話してる間に、ドーム状の結界がビシッとひび割れた。

〈まずい! 楓のやつ、このまま結界ごとおれたちを壊す気だ!〉
〈ええっ!〉

 楓の状態とわたしの表情から察したのか、生徒たちにざわめきが広がっていく。

「わたしたち、出られるんだよね?」
「馬になっちゃった子は、どうなるの⁉」
「勝ったのに、もどってないよ!」

 せっかくみんながまとまっていたのに……。
 パニックが起これば、みんなの心はバラバラになってしまう。
 でも、どう安心させればいいのかわからない。
 こんな不安定な状況で、ウソでも、「大丈夫」なんて言えないよ。
 ぎゅ、と目を閉じて唇をかむ。

「大丈夫だ!」

 ……え? 
 暗闇の中、光が差した気がした。思わず目を開ける。
 聞き覚えのある、凛とした声。
 わたし含めて、生徒たちの目がある人物に集中する。
 そこにいたのは……、馬になったはずの、テルだった。人間に、もどってる!
 しかも、その姿は……。
 ダイアモンドの王冠をかぶり、真っ白な軍服とブーツ。さらに、純白の毛皮のマント。
 これって、もしかして……! ダイアモンドがテルに、憑依してる⁉
 つまり、テルはダイアモンドの巫子だったってこと⁉

〈テルのヤツ、完全にダイアモンドを従えてるな。
巫子の素質があったってことか〉

 イリスのつぶやきに、ぽかんとする。
 そんなわたしに向かって、テルは不敵な、でも優しい笑みを浮かべた。

「美月、がんばったな」

 テル……! 
 うれしい。よかった。そんな気持ちでいっぱいになって、泣きそうだ。

「マジかよ!」
「テル! うおお、よかった!」
「わあああ、元にもどってる!」

 みんながテルのもとに集まっていく。

「おれだけじゃねーよ。見てな」

 テルはつかつかと馬たちが集まっているところへ向かう。

「『モンド』に命ずる。その力をもって、みなを呪いから解放しろ!」

 テル手を上にあげて叫ぶと、その手にダイアモンドの剣があらわれた。

「呪い()い!」

 ずあああっと、馬たちからどす黒い霧が噴き出す。
 それはみんな、ダイアモンドの剣に吸いこまれていった。
 あんなに濃い呪いを吸いとってなお、ダイアモンドの剣は清らかに輝いている。
 その場に残ったのは……、人間にもどった、みんな!