ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

 何、が、起こったの……?
 ズキズキと体中が痛む。

「あっははは! わたしの勝ちぃっ!」

 楓の笑い声。
 いつものほがらかなものとは違う、暗さとあやうさに満ちた笑み。
 わたしは……。

「負けた、の?」

 そうだ、あのスタートの合図の瞬間……。
 わたしは、イリスのモード:クリスタルの氷の力を使った。
 わたしの走るレーンの地面を凍結。
 スケートのブレードをブーツにつけて、一気にすべり出したんだ。
 いわゆる、スピードスケートだね。
 
 楓より、ぐんっと先に進めた。
 このままいけば、絶対に勝てる!
 そう思った瞬間、右足にガッという衝撃。
 わたしはそのまま、ハデに転んだ。
 ゴロゴロと転がり、ようやくとまったんだ。
 その間に、楓はゴールしてしまった。
 
 そのことにようやく気付き、呆然とする。
 楓はにまにまとしながら、わたしのもとに近づいてきた。

「残念だったねぇ、美月。まさか運悪く、石につまずくなんて」

 石……⁉
 コース上を見ると、わたしが転んだあたりに、小石が出っ張っていた。
 氷の厚さが足りなくて、あの石にひっかかって転んだんだ!
 すーっと血の気が引いていくのがわかる。
 わたし、負けちゃった。
 負けは……、罰ゲーム。

 どうしよう。どうしよう、どうしよう。
 わたしのせいだ。わたしのせいで、楓を救えなくなる。
 楓だけじゃない。このままじゃ、みんなも……!

「う~ん、美月はメインディッシュにしたかったんだけど……。あっけなかったね」
 
 体が震え出す。呼吸してるのに、空気が足りない。ひゅうひゅうと呼吸があらくなる。

「じゃあ、罰ゲーム!」

 すっと楓が腕をあげる。その手首を、おさえた人物がいた。

「待った! その罰ゲーム、おれが受ける」

 テル……? 

「ええ~、テルが? なんでよ」

 楓は言いながらも、手を静かにおろした。眉をひそめ、不満そうだ。

「美月は絶対にオマエに勝てるからだ。
今の勝負は、本調子じゃなかっただけだ」
「あはは、なにそれ。実際、美月は負けてるんだけど? ウケる~」

 そうだよ、わたしは負けたんだ。ぎゅっと胸が痛くなる。

「おれのオマエとの勝負の挑戦権を美月にゆずる。
だから、今回の負けの罰ゲームは、おれにしろ」

 楓に向かい、テルは堂々と要求を突きつけた。

「……何、勝手に決めてんの? アンタって、ホントおれさまでムカつくわ~」

 楓はテルをじろりとにらみつける。

「お願いするなら、それなりの態度ってものがあるんじゃないの? 
面白くないから、アンタも美月もふたりとも罰ゲームに……」

「わかった」

 テルはすっと楓の前に両膝をつき……、そのまま、土下座した。額を、地面にガッとおしつける。