ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

「だまれ!」

 びしゃんっと雷のような声が響いた。
 テルだ! 
 思わず、みんながしんとなる。

「大丈夫だよ、落ち着いて!」

 環くんも!
 甘く、優しくも力強い声で、みんな心が落ち着いていくのがわかる。

〈美月、安心しろ、おれもいる。力がいるなら、いつでも貸すぞ!〉

 頭に直接響いてくる声。そうだ、イリスもいたんだった。
 わたしはイリス、テルはダイアモンドを、
 それぞれ体操着のポケットに入れている。
 何かあった時のために、宝石たちを常にもっておこうって決めたんだ。
 みんながパニックから少し冷静さを取り戻したのを見て、
 楓は「つまんないの」と唇をとがらせていた。

「ま、いいか。じゃあ、予選からいくね」

 気を取り直し、ぱんっと楓は手をたたいた。

「さあさあ、百メートル予選を始めるよ。みんな手際よく並んで……」

 楓は大勢の生徒たちにむけて、気をそらしている。
 やるなら、今。
 わたしは、今、猛烈に腹が立っていた。
 心がビリビリと震えるほどに。
 だって、こんなこと、楓がするはずない!
 完全に、ツクモジュエリーに操られてるんだ。

〈イリス、いくよ!〉
〈ああ!〉

 心の中で会話をして、うなずきあう。

「水晶の巫子、美月が命ずる。精霊よ、わが身に宿り、その力を貸せ!」

 カッと銀の光がわたしを包みこみ、わたしの衣装と靴が変わった。
 フィギュアスケートの選手が着る衣装のような、オーロラ色のドレス。光沢をおびたブーツ。

「予選なんて、いらない! 
楓、いや、ツクモジュエリー。わたしと勝負して!」

 わたしの姿がかわったことに、生徒たちは驚いたようだった。
 でも、騒ぐことなく、ことの成り行きを見守っている。