ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

「なんだこれ⁉」
「え? 何? ドッキリ?」
「ちょっと、この緑の壁、ビクともしないんだけど!」

 生徒たちが騒ぎ始める。
 そんな中で、天井から降りてきた緑の光が、
 スポットライトのように楓を照らした。

「レディース&ジェントルメン! 
さあ~て、みなさん。
今日は、わたしと短距離走で勝負してもらいま~す! 
わたしに勝てたら、ここから出してあ・げ・る!」

 緑のライトに照らされた楓が、みんなに呼びかける。
 その異様な光景に、ざわめきが広がっていった。
 こんな楓、絶対におかしい。
 負の感情を増幅させる、ツクモジュエリーにとりつかれてるんだ!

「相馬さん⁉ いったい、何をしているの?」

 男女にそれぞれついていた体育の先生たちが、楓のもとに走って行く。

「あら、先生たち。わたしと勝負する? ちなみに、しないと……」
「勝負? 何を言ってるの! これは、異常事態よ。早く、学校に知らせないと……」
「だから、勝負を……」
「今はふざけてる場合じゃないの! 田中先生、携帯は?」
「吉村先生、だめです、通じません!」

 にこにこしていた楓の顔が、だんだんとイラついたものにかわっていく。

「はい、先生たち。失格~」

 楓はそう言いながら、ポニーテールをふぁさっと手でなびかせた。
 瞳をぎらつかせて、楓は再び笑顔をつくる。

「ということで、ハイ、罰ゲーム!」

 楓が指さすと、カッと緑の光が先生たちを包んだ。
 先生たちの影が、がくんっと崩れ落ち、手を地面につく。
 ぐぐぐ、と影はどんどん形を変えていき……。
 顔は長く伸び、ついている手足は、たくましい四つ足に。
 お尻からは、長い毛のしっぽ。
 背中にはたてがみ。
 光が完全に消えてなくなると、そこにいたのは、二頭の馬だった。

「が、あ、ひ、ひひぃぃん」
「うぐ、ぶ、ぶるるるっ」

 苦し気に、馬がいななく。
 馬に変わった先生を見て、そこかしこで悲鳴が上がった。

「きゃあーっ!」
「先生⁉ ウソでしょ?」

 驚きすぎて、わたしも心臓がどくどくと音を立てている。
 耳がじんじんするほど、血液が頭に回っていくのがわかる。

「勝負しないと、こうなっちゃいま~す! わかったら、静かにね!」
 
 場違いなほどに明るい声で言う楓。でも、パニックはおさまらない。
 まずい、静かにしないと、また楓が何をするかわからない!

「みんな、落ち着いて! 静かに……」

 あまりのことに震えて、上手く声が出ない。
 わたしの声じゃ、とどかない!
 楓はニヤニヤしながら、わたしたちの様子を見ている。
 その時だった。