ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

 ◆◆◆
 
 集中。わたしは、風になる。
 イメージしながら、感覚を研ぎ澄まし、クラウチングスタートの姿勢に。
 
 ピッ!

 笛の音と同時に、下げていた足を素早く前へ。
 そのまま、一気に走る。
 びゅうびゅうという風の音。徐々に高鳴っていく心臓の音。
 そのすべてが、気持ちいい。
 よし、ゴール!

「すごい。美月、あいかわらず速い~!」

 女子たちがきゃあきゃあと盛り上がる。
 今日は中等部二年の男子と女子でグラウンドに出て、百メートル走のタイム計測。
 男子はわたしたちのトラックの反対側で計測している。
 あ、次、楓が走る番だ。

 ピッという先生の笛の音とともに、勢いよくスタート。
 楓のポニーテールが風に揺れ、あっという間にゴールした。
 タイムは……、あれ?

「わ~、美月、楓に追いつきそうじゃん!」
「すごっ、陸上部並みって、やばくない?」
「さっすが、月影のエース」
「そう、だね」

 はしゃぐ女子たちに、あいまいにうなずく。
 どうしたんだろう? 楓、調子悪いのかな。
 走り終わったあとの楓は、はあはあと息を吐き、苦しそうな顔をしていた。
 あとで、話を聞いてみよう。

 そんなことを考えていると、体育の時間の終わりを告げる鐘が鳴った。
 みんな、整列して先生に礼をしたあと、ぱらぱらとグラウンドから教室へもどる。
 ふと楓を見ると、なんだか、思いつめたような顔をしていた。
 わたしが百メートルのタイムで楓を追いこしそうだったからかな……。
 でも、手を抜いて走るっていうのは、違うよね。
 楓のタイムも、いい時と悪い時があると思うし。
 なんだかモヤモヤした気持ちをふりはらい、わたしも教室へ向かおうとして……。

「やっぱり……みつ……てん……なんだ」
「え?」

 楓、何か言った?
 楓は、ポケットから何かを取り出して、それをかかげた。

 何? 緑色の光! まぶしい!
 光がおさまると、奇妙な、でも見覚えのある光景が広がっていた。
 グラウンドから、緑の光の壁が立ち上がり……。
 気がつけば、光のドームの中にグラウンドにいた生徒たち全員が閉じこめられていた。
 学校の校舎も、外の景色も見えない。
 グラウンドだけが、ドームによって切り離されている。

 ダイアモンド事件の時にもあった、結界だ!
 ということは、楓がさっきかかげたのは……、ツクモジュエリー!