ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

 この一週間、なんと、いくつものツクモジュエリーが襲ってきた!
 な~んてことはなかった。今日も何事もなく、いつものメンバーで登校中。
 昨日、延期されていた新入生歓迎会が、無事に終わったところだ。

「それにしても、環くん、バッチリ調子もどってたね~」

 楓が「よかったよかった」とうなずく。
 環くん、飼っている犬の具合がすごく悪くて、
 心配でしょうがなかったんだって。
 大切な家族が弱ってたら、いつも通りの動きなんてできないよね。
 幸い、わんちゃんの具合はこの一週間でよくなって、
 環くんの元気ももどったんだ。

「テル、きちんと環くんに謝ったんだよ。言い過ぎだったって」
「なっ、いちいち楓に報告すんなよ!」

 テルの顔が赤くなる。
 ダイアモンドのせいでテルがおかしくなってたとはいえ、
 環くんにキツくあたってたもんね。
 テルはきっちり、「すまなかった」って頭を下げたんだよ。

「え~。謝罪してるテル、見たかったかも。レアじゃん」
「おれだって、自分が悪いと思ったなら、謝るわ!」
「そうじゃなきゃ、絶対に頭さげないよね。お願いとかもしないタイプ?」
「頭下げて願うなんて、みっともないだろ!」

 ふたりともじゃれあってて、ほほえましいなあ。

「あ、そうだ。
美月、バスケ部が美月をスカウトしたいって言ってるけど……。
やっぱり、ダメ?」
「う~ん、わたしはやっぱり、店の手伝いをしたいから……」

 わたしの家、個人経営の天然石ショップなんだよね。
 小さいころから宝石や天然石のアクセサリーにかこまれて、
 父さんや母さんからも宝石のお話をたくさん聞いて。
 バシバシ宝石の英才教育を受けて、わたしは宝石が大好きになった。

 お店で見る、石たちの美しさといったら……。
 はあ~、幸せ。
 将来は、宝石をあつかう仕事に就きたいな~。

 大きな原石たちを運ぶのは体力もいるから、わたしは毎朝三キロ走ってるんだ。
 それが体力維持にもいいのかな?

「だよねぇ。わかった、わたしから言っとくね」
「ありがと、楓」
「ちなみに、陸上部もいつでも美月を歓迎するよ~」

 楓はそう言って、肩を抱いてきた。
 楓は陸上部に入ってて、短距離のエースなんだ。

「ふふふ、陸上では楓に勝てないよ」
「……まあ、長距離走とかもあるし。
月影のエースさまはどこの部も大歓迎よ!」

 バシバシとわたしの肩をたたく楓。

「そうそう、ついにカラクロの新曲発表されたね。
緑くんのパート、超カッコよかった~」

 話題がかわり、いつもと同じ推しの話をする楓。
 うんうん、楓の部屋、めっちゃ推し色の緑であふれてるもんね。
 ベッドカバーとか、カーテンとか、小物とか……。あと、緑くんの特大ポスター。
 いつも通りわたしは楓との会話に花を咲かせた。
 
 だから、気づかなかったんだ。
 楓が、無理やり明るくふるまっていたことに。