ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

◆◆◆

 あれ、わたし、どうしたんだっけ?
 ふわふわとした頭で考える。
 真っ白い空間。
 目の前にいるのは、唇をとがらせているテル。
 ふふ、かわいい。幼等部を卒業して、初等部になったばかりかな?
 そういえば、ちっちゃいころのテルはこんな感じだったっけ。
 勝手に、わたしの口が開く。

「ねえ、最近テル、元気ないよ。どうしたの? 学校嫌い?」
「いや、学校なんて、ヨユーだし」

 声変わり前の、かわいらしい声でテルはこたえた。
 確かに、初等部の勉強でも「おれがこたえる」、
 運動でも「おれにボールわたせ!」、
 って感じで、テルは大活躍。
 
 「さすがは、テル!」ってみんなが言うと、
 「あ? 簡単なことじゃん」って返ってくる。
 
 でもね、わたしはちょっとひっかかってたんだ。
 なんか、テル……、元気がない? って。
 気づいているのは、わたしだけみたいだった。
 『学校なんて』ってテルは言った。それなら、別なところは? 

「ジュニアクラスで、何かあった?」

 テルは四歳から芸能養成所に所属してる。
 表面上はおれさまだけど、テルって努力家なんだよ。
 ダンスや歌のレッスンに真剣に打ちこんでたし、本もたくさん読んでたんだ。
 そんなテルも、一年生になったから、
 養成所でクラスが一年生~六年生までのジュニアクラスに上がって、
 すっごく張り切ってた。

「……そっか。オマエをだませないほど、おれってやっぱりダメなんだ」
「テル……?」
「やっぱり、おれ、才能ないんだ!」

 そおっと下を向いているテルをのぞきこむ。
 テルは、涙を流していた。

〈あの時のおれ、超カッコ悪ぃ。美月に弱音をはくなんて〉

 ⁉
 え、あれ。この声、今のテルの声だよね。
 ……、今のテルって、なんだっけ?
 かすみがかった頭で考えるけどわからない。

 確かに、テルの涙にはびっくりしたよ。
 ……でも、それよりも、やっと泣いてくれたんだって安心したのを、
 よく覚えている。
 わたしは再び口を開いた。

「テル。才能ないなんてこと、ないよ。
どうして、そう思ったの?」

 優しい声を意識して、問いかける。

「前のクラスでは、歌もダンスもおれが一番だったんだ」

 幼等部での劇でも、ダンス発表でも、歌でも。
 テルは一番、輝いていた。
 それを思い出して、うなずく。

「うん! テル、歌もダンスも上手だよね」
「でも、小学生になって、ジュニアクラスになって……。
先輩ができたんだ。
おれ、先輩たちに比べたら、歌もダンスも、全然上手じゃない」

 うわ~んっと、テルは声を上げて泣き出した。