ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

「テルさまの邪魔ものは排除する!」
「テルさま、ばんざーい!」

 氷の盾を回りこんで、生徒たちがぞろぞろとやってきた。
 みんな、おそろしいほどに目をぎらつかせている。
 こんな人数、相手にできないよ!

「ど、どうすれば……」

 おろおろとしていると、イリスが前に出た。

「まかせろ。地面凍結(アイスバーン)!」

 ぴきききっと床に氷の膜がはっていく。すぐに、床は全面氷張りになってしまった。

「うわっ!」
「きゃあ!」

 生徒たちは足をとられて、どんどん転んでいった。
 もがき立とうとしても、つるつるの氷に歯が立たないみたい。
 でも、こうなったらわたしたちもここから身動きとれないんじゃ……。
 早く、テルを助けてあげないといけないのに!

「あせるな、美月。おれの力を、オマエにささげる」
「え?」
「それだけ『テルを助けたい』ってパワーで心がふるえているなら、十分だ」

 イリスは、ひざまずくと、わたしの右手をとった。

「な、何? どうしたの、いきなり」 
「今から言うおれの言葉を繰り返せ。大丈夫だ、絶対なんとかしてやる」

 わたしを見上げて、ふわりとほほ笑むイリス。
 その笑顔と、言葉の力強さに後押しされ、わたしはうなずいた。

「いいか、こう言うんだ。
『水晶の巫子、美月が命ずる。精霊よ、わが身に宿り、その力を貸せ』」

 すうっと息を吸い、イリスが言ってくれた言葉を繰り返す。

「水晶の巫子、美月が命ずる。精霊よ、わが身に宿り、その力を貸せ!」
 
 心地いい言葉。まるでさらさらと流れる水のよう。
 どくん、どくんとリズムを刻む。
 胸のあたりが、かあっと熱くなった、瞬間。わたしは虹色の光に包まれた。
 目の前にあったイリスの体がゆらりととけて、わたしに宿るのがわかる。
 ふわっと体が軽くなる。
 力が、みなぎる。
 
 いつの間にか、わたしは制服ではなく、
 七色のオーロラのように輝く白い美しいドレスを身にまとっていた。
 丈はショート。
 靴は内履きではなく、
 同じく光沢のある白のニーハイブーツにかわっていた。

「わあ! すごい。キレーなドレス。
 軽いし、全然動くジャマにならない。
 それに、どんどん力があふれてくる……!」
〈ああ。これが、モード:クリスタル。オマエの思いの結晶だ〉

 頭の中で、イリスの声がする。
 でも、それが普通だとすんなり思えた。
  
 わたしの中に、イリスがいる……。
 イリスって精霊が、わたしの魂と一体化してるのがわかった。
 様々な情報が、わたしの頭の中をめぐっていく。

「ありがとう、イリス。
力の使い方も、全部わかったよ。
これで、テルを救える!」
〈ああ、思う存分、やってやれ!〉

 わたしはニーハイブーツの底に向け、手をかざす。
 すると、手から光が放たれ、ブーツにスケートのブレードがついた。
 これで、この凍った地面もすべっていける。

 地面でもがいている生徒たちがわたしをとめようとするけれど、無駄。
 「月影のエース」の名前は、ダテじゃないんだから!

 シャッ、シャッとブレードが小気味いい音を立てる。
 わたしは生徒たちをよけながら、ステージへ、
 テルのもとへと勢いよくすべりだした。