ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

氷盾(アイス・シールド)っ!」

 イリスが両手を前に突き出して叫ぶと、
 大きな水晶の原石のようなものが床からはえてきた。

「わぁっ!」

 驚いて思わず声を上げると、息が白くなっている。
 ひやっとする空気。
 これは……、巨大な氷の塊⁉
 テーブルたちは、ドガガガッと重い音を立てて、氷の盾にぶつかった。

「よし、しばらくはこれで時間稼ぎができるな」

 ふうと息をつくイリスに向かい、わたしはたずねた。

「あの……、もしかして、なんだけど。
アナタって、わたしのお守りのペンダント? 
あなたの名前の『イリス』って、そういうこと?」

 わたしのペンダントの水晶は、
 「虹入水晶(にじいりすいしょう)」だ。
 アイリスクォーツとも呼ばれている。

 光にかざすと、水晶の内部にきらきらとした虹が見えるんだ。
 それにあやかって、
 わたしは「虹」って意味の「イリス」って名前を水晶につけた。
 それを知ってるのは、わたしだけ。

「ああ、そうだ」

 深くうなずくイリス。
 やっぱり! 想像はしてたけれど、ホントにそうだなんて。

「美月、じゃあ、アイツのこともわかるな?」

 イリスは、ダイアモンドの方を指さした。
 わたしはうなずき、こたえる。

「テルがしてた、ネクタイピンについてたダイアモンドだね」
「正解。アイツがすべての元凶だ。
テルにとりついて、負の感情を増幅させてる」

 イリスのこたえに、わたしの中の「常識」がガラガラとくずれさっていった。
 宝石が人をのっとったり、人型になったり……。
 フツー、ありえないから!

「詳しい説明はあと。
オマエは、テルを助けたいか? それとも、逃げたいか?」

 イリスの瞳の虹色に射られて、どきりとする。
 オマエに覚悟はあるのか? と問われている気がして……。
 不安でどくどくと音を立てる心臓を、ぎゅっとつかんでだまらせる。
 落ち着け、美月。
 こたえは、決まってるでしょ。

「テルを、助けたい。
わたしだけ、逃げるワケにはいかないよ!」

 そう宣言すると、ふっとイリスから発せられていた圧がやわらいだ。

「そうか。ならば、力を貸そう。わが(あるじ)。水晶の巫子(みこ)よ」

 イリスはうやうやしく礼をした。
 巫子……? と疑問に思ったのもつかの間だった。