ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

 わたしはもう、状況を整理するのに精いっぱいだった。
 テルが「ダイアモンド」と名乗ったと思ったら、
 何もないところから知らない男の子が急にあらわれるなんて。
 男の子の年は、わたしと同じくらい。
 真っ白い軍服みたいなものを着ている。

「ちっ。
オマエは……、忌々(いまいま)しい水晶か」
「その通り。
おれは、美月の守護宝石、『イリス』。
オマエの天敵さ」

 白銀の髪の少年は、ダイアモンドに向かってにっと不敵に笑ってみせた。
 白いまつ毛に彩られた瞳は、不思議な虹色をしている。
 おそろしいくらいに整った顔立ちは、一度見たら絶対に忘れないだろう。
 そう、忘れないはず。

 とくん、とくんと胸が高鳴っていく。
 じわりとしたうれしさと、切なさ、
 懐かしさが入り混じった、不思議な感覚。
 わたしは……、この人を、知っている? 

「美月、手首は大丈夫か?」
「あ、う、うん。
それは、大丈夫なんだけど……。
あの、わたしたち、どこかで会ったことある?」

 うわ、疑問がそのまま口から勝手に。
 こんな時に、何言ってるの、わたし。
 少年はちょっと驚いたような顔をしたあと、すぐに声を上げて笑った。
 あ、笑うとイメージががらっとかわる。
 なんか……、カワイイ。

「まあ、今年の春から毎日会ってるな。
言っただろ? 
『美月の守護宝石』で、名は『イリス』って」

 パチン、とサマになるウインクをされ、ふたたび胸がどきんとはねた。
 うるさいくらいの心臓のどきどきを感じながら、考える。
 わたしの守護宝石で、名前が「イリス」? それって……。

「……ちょっと失礼!」
「へ?」

 少年……、イリスは、ひょいっとわたしを抱きかかえて、
 ステージからとび降りる。 

 ドカカカッ! バキッ!

 わたしたちがいたところに、
 イスやテーブルがものすごいスピードでつっこんできて、鈍い音を立てた。

魅入られし霊の手(ポルター・ガイスト)!」

 ダイアモンドが叫ぶと、キレイに設置されていたテーブルとイスがふわりと宙に浮く。
 それらは再び、わたしとイリスのもとにとんできた!
 おそろしくて、思わずイリスの首に手を回してしがみつく。

「しっかりつかまってろよ、美月!」

 わたしを抱く手にぎゅっと力を入れて、
 イリスはひょいひょいととんでくるものをよけていった。

「ち、ステージからだいぶ遠ざかっちまったな。美月、立てるか?」
「う、うん」
 
 そっと地面におろされる。
 わたしたちは、いつの間にか大ホールの後ろに追いつめられていた。
 ふわふわ浮かぶテーブルが三つ、わたしたちめがけて一気に落ちてくる!