「千陽、今日は本当にありがとう! また明日ねー!」
「うん、また明日!」
放課後、柔道部の練習試合に飛び入りで参加したわたしは、友達のミキちゃんに手を振って校門の前で別れた。
いつもの帰り道を歩いていれば――何やら、きょろきょろと辺りを見渡している、怪しい男の人を見つけてしまった。
男の人は建物の裏の、細い道に入っていく。
(あの路地の先は、行き止まりのはずだけど……何をするつもりなんだろう?)
こっそりと後を追いかけてみれば、男の人は、誰かと電話をしているみたいだ。
「もしもし、オレだ。碓氷の家のガキを見つけた。眠らせて、三丁目の酒屋の裏手に隠れてるとこだ。急いで車をよこしてくれ」
早口で通話を終えた男の人が、視線を地面に向ける。
そこでわたしは、衝撃の事実に気づいてしまった。
――路地の奥の方に、男の子が倒れている。
制服を着ているし、背格好からして、わたしと同い年くらいの子だろう。



