「一本! そこまで!」
審判の声に、わたしは深々と頭を下げた。
試合が終われば、柔道部の子たちが一斉に集まってくる。
「さっすが千陽! めちゃくちゃかっこよかったよ~!」
「結城さん、本当にありがとう! まさか部員の半分が風邪を引いちゃうなんて思ってなかったから……結城さんが助っ人にきてくれて、本当に助かっちゃった」
「いえ。また困ったことがあれば、いつでも頼ってくださいね!」
笑ってそう言えば、そろった声で「イケメン……!」と言われてしまった。
わたし、結城千陽。中学二年生の十三歳。
黒い髪は肩の上でばっさり切っていて、中世的な顔立ちをしているって、よく言われる。
友達からも「千陽は本当にイケメンだよね」なんて言われることも多いんだけど、これでもわたし、れっきとした女の子なんだ。
武術をたしなんでいるのもあって、服装は普段からズボンとか、動きやすい格好でいることがほとんど。
スカートなんて、学校の制服くらいでしか着てないかも。
道を歩いていて、男の子に間違われちゃうこともよくあるんだけど……もしかしたら、ボーイッシュな格好をしているのも、間違われる原因の一つなのかもしれない。



