その圧倒的な存在感に、澄華は思わず後ずさる。
⼼臓の⿎動が⽿元で跳ねる⾳が、頭の中で響いた。
⼀瞬、時間が⽌まったかのような錯覚――だが、怪物たちは着実に距離
を縮めていた。
「後⽅⽀援部隊、構えて!」
美織の低く張り上げた声が、恐怖の中に冷静さを取り戻させる。
向こう側に陣取っていた時川が、空気を切り裂くように声を張り上げた。
「なんで異喰がここに......! 前線は何してんだ!!!!」
張り詰めた声が、だだっ広い地上に虚しく響く。
その声に被せるように、美織が⾆打ち混じりに叫び返した。
「そんなの私が聞きたい!!! けど――」
⼀瞬、⻭を⾷いしばるように⾔葉を切り、美織は異喰の群れを
睨み据える。
「異喰がここにいるってことは……前線部隊が⼿⼀杯でこっちまで
来れないってパターンか……すでに前線が全滅したかの2択でしょ!」
その⾔葉が、澄華の胸に重く沈んだ。



