空を知らない君に贈る唄


* * *

陣形を組んでから、もう数分が経っていた。

静かな地上。

ここにいる誰もが、まだその“変化”を感じ取れていない。

――ただ、時折吹く⾵だけが、⽣きている世界の証のようにそよいでいた。

澄華は、視線を遠くへ向けたまま、ゆっくりと呼吸を整えていた。

⻘い――

ここは、本当に⻘い。

どこまでも澄み渡る空と、ゆったりと浮かぶ雲。

その下では、草⽊が⾵に揺れ、まるで空気そのものが笑っているかの

ようだった。

そして――

⼀瞬だけ、遠くに⾒えた翼。

本でしか⾒たことのなかった⽣き物――⽴派な翼を持った⿃が、

軽やかに空を舞っている。