空を知らない君に贈る唄


階段を上る隊員たちの⾜⾳が、遠くでざわざわと響く。

(……安、⼼。)

その⾔葉が、胸の奥に静かに落ちていく。

数秒の沈黙。

そして、澄華はふっと息を漏らし、思わず吹き出した。

「なにそれ……!」

笑いながらそう⾔う澄華に、陽⽃は⼀瞬驚いたような顔をしたが、

すぐに釣られるように笑い出す。

「え、なに? 変だった?」

「変……だけど……」

⾔葉を探すように視線を逸らしながら、澄華は⼩さく肩をすくめた。

「……ちょっと、嬉しい」

その⼩さな声は階段を上る⾜⾳に紛れて消えそうだったが、

陽⽃はちゃんと聞き取ったらしく、ぱっと表情を明るくした。

「だろ? 来て正解!」

そう⾔って、陽⽃は⼀段⾶ばしで階段を駆け上がる。

「地上かぁ〜……どんななんだろーなぁ〜!」

その背中は、怖れよりも期待の⽅が勝っているようで、⼦供のように

無防備だった。