空を知らない君に贈る唄


振り返るより先に気づいて、澄華は⼩さく⽬を⾒開いた。

「……陽⽃?」

6班の⾯々と話していたはずの陽⽃が、隊列を抜けるようにして

戻ってきていた。

少し息を弾ませながら、何事もなかったかのように澄華の隣に並ぶ。

「なんでこっち来たの? 

時川班⻑たちと話してたんじゃ……」

澄華は階段を上がり始めながら、⾸を傾げて尋ねた。

すると陽⽃は、少しも迷うことなく、にっと笑って⾔い切った。

「なんとなく!」

あまりに即答すぎて、澄華は思わず⾜を⽌めかける。

訝しげな表情で陽⽃を⾒ると、本⼈はまったく気にした様⼦もなく、

肩をすくめた。

「初めての地上だしさ。

俺と澄華だって、昨⽇知り合ったばっかだけど……」

そう前置きしてから、少しだけ声のトーンを落とし、けれど変わらず

無邪気な笑みを浮かべて続ける。

「それでも、知ってるやつが隣にいたほうが安⼼すんだろ?」

その⾔葉に、澄華の⾜が完全に⽌まった。