空を知らない君に贈る唄


ようやく完成した料理が⾷卓に並び、⼿を合わせる。

「「「いただきます」」」

平和で和やかな空気が流れていたその時。

凛が不意に、⼝を開いた。

「……⾔ってなかったが、俺は戦闘部隊の隊⻑だ。

任務の時は大体戦線に出る。百合のお前らと行動することはほぼない。」

⾷卓の中で、凛の突然の⼀⾔に、澄華も陽⽃も、箸を⽌めて顔を

⾒合わせた。

「……え?」

澄華は思わず⼩さく声を漏らし、陽⽃も⼀瞬⽬を⾒開いたまま固まる。

普段の冷たく、時には冗談めいた⼝調の裏に、そんな重い肩書きが

隠されていたとは――⼆⼈とも予想だにしていなかった。

凛は静かにマグカップを置き、テーブル越しに⼆⼈を⾒下ろすように

視線を合わせる。

いつもの鋭さは残しつつも、今はその瞳にどこか、覚悟のような影が

あった。

「……戦闘部隊の、隊、⻑……」

思わず呟いた澄華の声には、驚きと尊敬が混ざっていた。

陽⽃も⼝を半開きにしながら、少し声を震わせて返す。

「そう、なんですか……」

凛は何も⾔わずに、ただ淡々と⾷卓を⽚付け始める。

だが、その静かな動作の⼀つ⼀つに、隊⻑としての責任感と、

⽇常の中で戦いを背負ってきた重みが滲んでいるように⾒えた。

澄華は⽬の前の凛を⾒つめながら、⼩さく息をついた。

頭では理解しようとしても、その事実の重さに⼼が追いつかず、

胸の奥が少し締め付けられる感覚があった。

(この⼈が私たちの班⻑で、戦闘部隊のトップ………)