空を知らない君に贈る唄


⼆⼈は並んで、階段へ向かう。

⼀段、⼀段、踏みしめるように降りていく。

軋む⾳が、静かな決意を刻むように響いていた。

もう逃げない。

もう、⽬を逸らさない。

そう無⾔のまま確かめ合うように、⼆⼈は⼀階へと降りていった。

⼀階に降り、リビングに⾜を踏み⼊れると、

すでに凛と時川はダイニングテーブルの椅⼦に隣り合って座っていた。

陽⽃と澄華も、静かに⼆⼈の正⾯に腰を下ろす。

凛は少し⾝を引き、⾜を組んで視線を上げると、低く重い声で

⼝を開いた。

「信じられねぇ数の異喰の群れ……お前らも⾒たな?」

⼆⼈は頷く。

あの数、あの迫⼒――胸に刻まれた記憶は、⽣々しく残っていた。

凛は続けた。

「開始の爆薬が鳴った数分後、前線部隊にあれが攻め⼊ってきた。

俺でさえ、あんな数の群れは⾒たことがなかった。

はっきり⾔って、異例の事態だ。

最初は、前線にいる隊員を喰いに来たんだと思ってた。が……」

⾔葉を切った凛の横で、時川が静かに視線を向け、低く⼝を開いた。

「……あれは、前線部隊の動きを封じることが⽬的だったんじゃない

かな……って、凛と話してて思ったんだ。」

その声は冷静に分析する声⾳でありながら、どこか不気味な重みを

帯びていた。