空を知らない君に贈る唄


そのとき――

ガチャリ、と⾳を⽴てて、部屋のドアが開いた。

反射的にそちらを⾒る。

ドアの隙間から顔を出したのは、プラスチック製のコップと

錠剤が⼊ったブリスターシートを⼿にした陽⽃だった。

「……」

陽⽃は後ろ⼿で静かにドアを閉め、ゆっくりと顔を上げる。

そして――澄華と⽬が合った瞬間。

「……っ!」

陽⽃の⽬が、驚愕に⾒開かれる。

次の瞬間、⼿から⼒が抜け落ちたように、コップとブリスターシートが

床に落ちた。

バシャッと⾳を⽴てて⽔が⾶び散り、床を濡らす。

澄華はその⾳にびくりと肩を震わせ、思わず顔をしかめた。

「ちょ……陽⽃?」

そう呼びかけた瞬間だった。

陽⽃はその場で固まったまま、ゆっくりと⽬の淵に涙を溜めていく。

堪えるように唇を噛みしめた、次の瞬間――

「……澄華……っ!」

次の瞬間、陽⽃は澄華に⾶びついてきた。

反射的に受け⽌めようとした澄華だったが、まだ⼒が⼊らず、

よろけてベッドに腰を落とす。

そのまま、陽⽃の額が澄華の肩に強く押し付けられた。